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ステンレス鋼の反射

THE MAGAZINE DEVOTED TO NICKEL AND ITS APPLICATIONS

June 2007
Volume 22, Number 3

 

Ron Aradとクラッシュしたゴミ箱

クラッシュしたゴミ箱

Ron Aradとクラッシュしたゴミ箱

4つの動きをする箱(椅子)

リップルチェア(さざ波模様の椅子)

リップルチェア(さざ波模様の椅子)

D-ソファ

「本の虫好き」と名づけられた書棚

Hotel Duomo  エントランス

Hotel Duomo エントランスから見たロビー

Hotel Duomo ロビー

Hotel Duomo ロビー

Hotel Duomo ロビー

Hotel Duomo ロビー

Hotel Duomo ロビー(拡大)

Hotel Duomo バー

 スクリュー(バー用の高い椅子)

アウォード

ウエルテンパードチェア

ビッグイージー

カルチェファンデーションにあるコーヒーテーブル

ロンドンにあるRon Arad Associatesのスタジオ

Ron Arad


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ロンドンのRon Aradは鏡面状仕上げでデザインの限界に挑戦
by Thom Loree

Nickel Magazine, June 2007 -- 1980年代初め、若きイスラエル人の亡命者Ron Aradはロンドンのコベントガーデンに店を開いた。この店はその創意に富んだオリジナルな内容でたちまち人々をひきつけた。例えば、鋼管を土台にした車の座席、1930年代の湾曲した足場の枠組みに据え付けられたローバー200のスクラップヤードの座席、コンクリートブロックに鋳込まれたステレオとスピーカなど。当時、廃棄された材料を自由に使うことがロンドンのデザイナーの間で大流行していたが、これには確かに、ある批評家によれば、「ハイテクでかつ既製」であるところの遊び心いっぱいのスタイルがあった。

9年後、Ron Aradは、Caroline Thormanと共同で、ロンドンの北のチョークファームに自分の名前をとってRon Arad Associates(RAA)を設立した。現在、ビル全体が彼の事務所となっている。

Ron Aradは世界で最も影響力のある工業デザイナーで建築家の一人として頭角を現し、現在、非常な売れっこである。最も有名な作品には、波状の「Bookworm(本好き)」書棚(1994)があり、これはイタリアのデザイン会社Kartell社のベストセラー商品でもともとは焼戻し鋼を使った実験の結果として生まれたもので、その他にイタリアのモデナのMaserati本社のショールーム(2003)がある。彼の作品は、パリのポンピドーセンター、ニューヨークのメトロポリタン美術館、ロンドンのヴィクトリア・アルバート美術館、ドイツ南西部のヴィトラデザイン美術館をはじめ世界の主要な美術館やギャラリーに飾られている。

1980年代末から、この異端の芸術家は、彼のデザインと建築の作品でニッケル含有のステンレス鋼を自由に使ってきた。「それは作品により変わるが、作品の多くはS31600になる傾向がある。」とAradは言う。「湿気のある気候での戸外の作品の質を維持することに関心がある。だからステンレス鋼の耐食性は確かに利点である。また、ステンレス鋼は切ったり、曲げたり、溶接することが可能なので使う。」

「おそらくもっと重要なことは、得られる高い反射である。」と付け加えている。「これがまさに核心だが、いかに見えるかということだ。美しく反射するシームレスの研磨表面が得られ、次に、こうした反射特性は映し出されたものに驚くべき効果をもたらす。」

有名な作品には他に、「4つの動きをする箱」(1994)という椅子がある。これは、4つの部分から成る縦、横、幅各40センチの箱で、3つの部分がどんな高さか、角度にも調節が可能である。つめ車継手で完全に固定でき、各部分はねじれ棒の上に蝶番で留められているので、椅子は弾力性があり心地よい。」

同年にAradは「Dソファ」を初公開した。これは鏡面状仕上げのステンレス鋼の長く低い寝椅子であり、シートとその背は3箇所だけで接している。

注目すべき作品には次のようなものがある:ステンレス鋼の花瓶(2002年イタリアアレッシ社)、パリのカルチェファンデーションにおける「L’Esprit du Nomade」のための装置(1994)、土台と支柱が鏡面状仕上げのアルミ製、座席と足のせ台が梨地仕上げのステンレス製のバーのとまり木”Screw”(2006年Driade)、引張ってボルトでとめた焼戻し鋼のバネ特性を創造的に利用した「ウエルテンパードチェア」(1986年ヴィトラ社)、曲げて溶接した鋼板でできた黒い椅子の「ビッグイージー」シリーズ(1988-89年、2003年改良)、「リップルチェア」(2005年モローゾ社)。

アラッドの最も最近の作品である「サムプリント」はS31600ステンレス鋼ロッドでできており、同氏によれば、「その作り方はただひとつで、ロッドを次から次に使うだけである。非常に労働集約型プロセスであるが、結果は驚くべきものとなる。なぜなら、あなたの意志ではなく作品の形態によって左右されるパターンが得られるからである。」

真の独創家であるアラッドは古いしきたりを打破するという評判を得た。「彼の家具は、彼が正しい材料とふさわしい外観にこだわりすぎると考える秩序に生気を回復させた。」とカリフォルニアのサンフランシスコのウエブサイトartandculture.comは書いている。「廃棄物から金属、ループ状の鋼製の椅子から屈曲した壁用棚にいたるまでAradのデザインは受け入れ可能な生活環境の限界に挑戦し続ける。」

Aradは1999年~2006年までロンドンの王立芸術大学デザイン製品学部の部長を務め、今も世界中の大学やデザイン学校で定期的に自分の作品の講義を続けている。確か彼のデザインは仕事を始めたばかりの若いアーティスト達のインスピレーションの源となっているのは不思議でない。

「彼は先生であり、教授であるが、限界に挑戦し、新しいことをし、常に驚くような仕事をしている。」と照明デザイナーPaul Cocksedge氏は英国インディペンデント紙の最近の記事で述べている。「彼は人々を駆り立てる。そして自分が以前見たことがあるものを見ることを望まない。」

Thom Loree is a Toronto-based freelance writer.

Photos: Ron Arad Associates.

 

Ron Arad Associates

Chalk Farm, London

Phone: 020 7590 4271
E-mail: ron.arad@rca.ac.uk
Web site: www.ronarad.com


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